椙山女学園大学 食育推進センター

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2023-07-21

第49回椙山フォーラム「眠活のすすめ」申込者からの質問に対する回答について

 過日に行いました第49回椙山フォーラム「眠活のすすめ」にお申し込みいただきありがとうございました。申込時にいただきました質問につきまして、回答できる内容のみ、講師からお答えさせていただきます。

【質問1
過去に失敗した悪い出来事の夢をよく見るのですが...どうしたら、そういったストレスから解放された睡眠をとることができるのでしょうか。
基本的には成長とともに忘れられていくものですが、どうしてもぶり返す場合はトラウマの可能性があるので、メンタルクリニックにご相談するのもひとつの方法です。(中山講師)

【質問2
「睡眠は、人間の精神活動にどのように影響されるのか」を教えてください。
⇒とても大きな質問ですね。お尋ねの意図と合致していると良いのですが。断眠実験をすると、「眠い」「いらいらする」といった陰性気分が強くなります。実験を続けると視覚系の疲労や計算ミスなどが増えることから視覚機能の低下や情報処理機能の低下がおこります。このようなことから生理心理機能の低下がわかります。人の睡眠は心理状態と密接に関係しているため、心理的な変化や精神状態によって睡眠は変化します。そのため、うつ傾向が強くなると、なかなか寝付けないなど不眠や過眠などの症状を伴います。睡眠障害はうつ病の重要な症状と考えられてきましたが、睡眠障害がうつ病の発症や再発と関係があるとの報告もあります。(山田講師)

【質問3
高齢者などが睡眠導入剤や睡眠薬に頼らない質の良い睡眠を摂るための食事の工夫を教えてほしい。
⇒食事の面で気をつけていただきたいことは、講演会でお話ししたことが基本となりますが、高齢者の方ですと、消化機能が低下している可能性もありますので、特に夕食については腹8分目よりも抑えていただく、脂っこいものを控えていただくとよろしいかと思います。また、寝る1時間程度前に白湯をとっていただくと体が温まり血行が良くなるためおすすめです。たくさんとると今度はトイレに起きてしまい眠りが浅くなる可能性があるため量には気をつけていただきたいです。(小多講師)

【質問4
時々34時間位で目が覚め1時間位寝られないのはなぜか? 再び寝て睡眠時間は67間ぐらい。寝たり無い感は無し。
3~4時間ぐらいは、深い眠り2クール分に相当し、眠りが浅くなる頃と思います。一定数こういったパターンの眠りになる方がいらっしゃいます。睡眠学会では二山睡眠(ふたやますいみん)だとききました。外敵から身を守る必要があり熟睡できなかった時代の名残だそうです。私も二山睡眠ですが、無理に眠ろうとせず自然に眠くなるのを待てばよいです。ただし、神経が昂るようなことは避けましょう。気になる場合は、他に隠れた睡眠の問題がないか専門医にご相談ください。(山田講師)
長期続く症状のようでしたら、一度睡眠検査を受けることをお勧めします。(中山講師)

【質問5】【質問6
・発達障害や自閉スペクトラム症の方の睡眠障害や睡眠の乱れの原因と対策について触れていただけるとありがたいです。定型発達の方と同じように考えればよろしいでしょうか?
・知的障害など障害のある方への睡眠の質を高めるための配慮などがあれば知りたいです。
⇒発達障害の子どもは定型発達の子どもに比べて睡眠障害を持つことが多いです。慢性的な睡眠不足は、成長・発達を妨げ、多動、衝動性、注意散漫、イライラ、癇癪などの問題行動を悪化させる原因になりやすいです。睡眠を整えることで成長・発達の促進や問題行動の減少し家庭生活の質が向上する場合もあります。知的障害と自閉症スペクトラム障害は、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒を含む睡眠・覚醒リズムの問題があげられます。定型発達では、「寝る時間だから」とか「みんな寝ている」など周囲の習慣に添わせることができますが、自閉症スペクトラム障害や重度の知的障害の子どもでは、それを察知する能力やそれに合わせていく動機が弱く、行動を変えることが難しいです。眠ってくれない事への保護者のイライラやネガティブな印象は夜寝ることへの不安を増強します。昼間外に連れ出し体を動かす機会をつくる、昼寝は短く、就寝前に興奮しすぎるようなテレビやゲームなどは控えるなど定型発達の子どもと同じです。ただ、その子にあった体内リズムに近いところから始めましょう。たとえばいつも寝付きやすい時間から少しずつずらすなどが良いと思います。今回は、薬物を使わない生活の工夫を紹介しました。(山田講師)
発達障害と睡眠の乱れは強い関連性がありますが、未だ良き解決方法はありません。共通して時間認識が不得意であり、投薬と認知行動療法が効果を示すことがあります。(中山講師)

【質問7
寝付きは良いが、1時間に1回トイレに行く。良い対応を教えてください。
⇒夜間にトイレに行くために1回以上起きることで困っている状態を夜間頻尿といいます。夜間頻尿の原因は4種類に大別されます。多尿(1日の尿量の増加)、夜間多尿(夜間の尿量の増加)、膀胱畜尿障害(排尿1回毎の量の減少)、睡眠障害です。高齢者になると深い眠りが減り浅い睡眠となることから、中途覚醒が多くなります。中途覚醒は膀胱を刺激し(膀胱内圧が上昇)、膀胱容量が低下するため尿意の原因になります。1日(24時間)の尿量の目安は、40ml ×体重(体重60㎏の人は2400ml)以上の時は多尿です。24時間尿のうち夜間の尿量が高齢者33%、若年者20%以上の場合に夜間多尿とされています。病気や治療薬の影響の場合もありますが、の場合、泌尿器科を受診されることをお勧めします。(山田講師)
長期続く症状のようでしたら一度睡眠検査を受けることをお勧めします。(中山講師)

【質問8
寝つきは良いが、年のせいか早く目が覚めます。睡眠時間を長くとるための仕組みを知りたいです。
⇒早く目が覚めるのは加齢変化の生理現象と言われています。必要以上の睡眠をとる必要もないように思います。(中山講師)

【質問9
眠る前のカフェインは、本当に摂取するのは良くないのでしょうか。私の場合は、飲んだ方がよく眠れます。
⇒カフェインの効き方には個人差があるといわれています。睡眠に問題がない場合は摂取しても良いと考えられますが、摂取量が多くなり過ぎないよう注意していただきたいと思います。コーヒーや紅茶などの香りによるリラックス効果などもあるかと思いますので、差し支えなければノンカフェインのものに変えていただくとさらに良い睡眠効果が得られる可能性もあります。(小多講師)

【質問10
高血圧と睡眠の関係は?
⇒睡眠障害は循環器障害を来し、高血圧を来します。(中山講師)

【質問11
起立性調節障害での朝の起床が困難な話を聞いたことがあります。食生活の内容も関係するのでしょうか?またスマホのやりすぎからの睡眠障害は起立性調節障害の方には影響があるのでしょうか?
⇒難しい問題です。背後に発達障害が潜んでいる場合もあります。(中山講師)

【質問12
毎日夜中に23回猫に起こされてしまいます。睡眠妨害は、身体に悪影響がありますでしょうか?
⇒子育て期と同じような状況ですね。起こされても、その後にすぐ眠れるなら問題ないと思います。私も、猫4匹と生活していますので状況は理解できますが、猫たちも大人猫になると落ち着きます。夜中は別室にしたりケージに入れている人もいますので、どうしても眠りたいときは夜間、猫さんとの過ごし方をご検討ください。(山田講師)

【質問13
認知症などで睡眠時間がばらばらになってしまいやすい方のケースは、どのように考えればよいでしょうか。 高齢者でどんなに説明をしても、本人は「別に仕事していないし、だれかに迷惑かけているわけでもないし。眠いのを我慢してぼうっとして転んでもいけないし。」などとなんだかんだ言って、寝る時間や起きる時間を整えようとしません。このような方へのアドバイスはどのようにしたらよいでしょうか。
⇒高齢者の睡眠は、体内リズムが前倒しになります。仕事がないなど社会的活動が少なくなると日中することがない、運動量が減る、暇を持て余し夕食が早まる、床に就く時間も早くなるなど生活リズムが前にずれ、高齢になり睡眠時間が少なくても足りるなども重なり早朝に目が覚めるようになります。認知症高齢者では、睡眠と覚醒の時間帯が不規則になることがあります。朝の光を浴びること、朝食をとること、日中に身体を動かすことなどメリハリのある生活ができると体内時計のリセットに効果的です。「誰かに迷惑をかけていない」には、介護するスタッフに協力してほしいとお伝えしてはいかがでしょうか。そして、日中に短時間の昼寝(15時までに30分)と可能なら夕方の運動(17時ごろ30分)をお勧めします。概日リズム障害は、認知症症状や運動機能異常の出現よりも前にみられやすので、今後のケアの参考にしてください。(山田講師)

【質問14
トイレが近く目覚めます。水分摂取とトイレと睡眠をどのようにすればよいのか悩ましいです。
⇒夜間のトイレについては、質問7を参考にしてください。夜間就寝中には、コップ1杯ほどの汗をかくといわれています。夏季では夜間熱中症が心配ですから過剰な水分制限はやめましょう。質問には、ただ水分とありますが、水なのかお茶などかで状況は変わります。お茶などのカフェインを含む飲料には睡眠を妨げる作用だけでなく、利尿作用もありますから、夕食以後の摂取は控えましょう。寝る前は、就寝中の汗と同程度の水コップ1杯、起床時もコップ1杯の飲水を厚生労働省も推奨しています。(山田講師)

【質問15
7時間以上睡眠をとると長生きできないとうデータがあると聞いたことがあります。眠活では、どのくらいの時間が最適だと考えているのですか。その理由があれば教えて下さい。
⇒質問22をご確認ください。(山田講師)

【質問16
成長期でお稽古ごと等で夜ご飯が遅くなる場合、就寝のどれくらい前ですと、睡眠の弊害とならないでしょうか。 また、夕食抜きは睡眠に悪影響と読んだことがあるのですが、就寝前の食事はどれくらい、どのような点で睡眠の害となるのでしょうか
⇒夕食の時間は、講演会でもお話ししておりますが、就寝の3時間前までにとっていただくのが理想です。胃に食べ物が残っている状態で眠ると眠りが浅くなってしまうということがあるためです。お稽古ごとの都合でどうしても難しい場合は、可能であれば早目の時間に何か食べておき、帰宅してから胃腸に負担のかかりにくいものを軽く食べていただくのがおすすめです(空腹で眠れないのを防ぐため)。お茶漬けやお粥、おにぎりなど炭水化物中心のメニューか、ヨーグルトなどのおなかに優しいものでも良いかと思います。(小多講師)

【質問17
腸内細菌と睡眠のかかわりについて
⇒腸内細菌は、睡眠の質を左右するホルモンの生成と関係があります。講演会でもご紹介した睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」、その前段階のしあわせホルモンと呼ばれる「セロトニン」のもとになる「トリプトファン」というアミノ酸は、食事から摂取したたんぱく質を腸内細菌が分解・合成してつくられます。よって、腸内細菌は睡眠の質や心の健康に関係しているといわれています。(小多講師)

【質問18
乳幼児期の健康的な睡眠について、保育に携わる中でのコツ・ポイントを教えて頂きたいです。
⇒睡眠にも発達があることを講演では図を用いて説明しました。成長するにつれ睡眠は夜を中心に、日中は午睡にまとまります。保育園で過ごす時間は必要以上に眠っていると夜泣きや夜更かしの原因になります。保護者の方からの夜泣き(6か月ごろの一過性物以外)や夜なかなか眠らないという訴えに耳を傾けてほしいです。講演でも紹介しましたが、3歳時に夜の睡眠が9時間未満の子どもは10年後の肥満率が高いのです。同時期の幼児でも幼稚園に通園している子どもさんは午睡していませんね。夜の睡眠時間が減るような午睡を避けてくださると良いと思います。(山田講師)
保育でしたら昼寝のことだけですよね。大人と違い、乳幼児は長い昼寝を必要とするため、夜同様静かで光を押さえた環境がいいと思います。(中山講師)

【質問19
高校生の息子がいます。中学の頃から朝が起きれず早く寝ても朝起こしても起きれません。色々試してみたのですが体を起こしてもすぐに寝てしまうなど起きれません。学校が嫌だということもないです。遅刻しても行くので。本人の意志?次第かとも思ったのですが本人も努力しようと色々意識はしているようで悩んでいるようです。 病院にいってみたかったのですが本人が嫌がりそれも無理です。何か改善方法はないでしょうか?
⇒難しい問題です。背後に発達障害が潜んでいる可能性があります。大人との会話が重要で、場合によっては学校、養護の先生も挟んでお話するなど、学校に行けないことの意味について、本人の意思確認もして頂くなどの必要があります。(中山講師)

【質問20
眠りは7時間連続しなければいけないのですか私は2時間で覚醒して10分後に直ぐ眠り一晩に3回位あります。睡眠障害でしょかお尋ねします。
⇒健康で生活に困らなければ、どのような寝方をしても睡眠障害とはなりません。(中山講師)

【質問21
睡眠不足が脳に与える影響と、睡眠不足の状態から快眠にするための方法を教えてください。
⇒睡眠不足はご自身の生活習慣から来るものです。この前提では快眠は難しいです。(中山講師)

【質問22
睡眠時間は何時間が適切ですか。 日頃の睡眠不足は、土曜日日曜日にたくさん寝ることで解消することができますか。
⇒睡眠時間は、多少の個人差はありますが6-7時間の人の死亡率が最も低く、短くても長くても死亡率は上昇します。肥満も同様に6-7時間、糖尿病や高血圧は7-8時間が一番死亡率が低く、それより短くても長くても死亡率が上昇するというデータがあります。過去の研究からトータル的に考えると7時間周辺が良いようです。日頃の睡眠不足を睡眠負債といいます。確かに週末に解消する方法もありますが、日ごろのリズムよりも大幅に起床時刻を変えてしまうと、そのことが次のリズム障害になる事や続けることで生活習慣病のリスクが高まります。休日に遅く起床する場合は、日頃よりも1時間を超えない程度にすることをお勧めします。(山田講師)
土日も休日も同じ時間寝れば同じ時刻に起きる時間が適切な睡眠時間です。睡眠不足は負債となり、どこかで体調が崩れ、結果的に休むこととなるので、毎日充分な睡眠をお取り下さい。(中山講師)

【質問23
睡眠障害の種類と改善
⇒近年厚生労働省からも色々な情報が出ていますし、書物も出ているので、是非お読み頂けたら幸いです。(中山講師)

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