椙山女学園大学 食育推進センター

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2022-07-04

第45回椙山フォーラム「腸活」を行いました

6月15日(水)から6月29日(水)にかけて、食育推進センター主催の第45回椙山フォーラム「腸活」をオンデマンド映像配信によるオンライン講演会として開催しました。
はじめに、静岡県立大学食品栄養科学部助教の唐木晋一郎氏が「腸の中の脳-からだの中の「内なる外」を考える-」をテーマに講演。多細胞動物は上皮細胞(外皮)によって外部環境と内部環境が分かれ、安全な内部環境にさまざまな細胞が存在していること、その内部環境に危険な外界の物質を直接取り込まず、まず体の中を貫いて作られた空洞である腸管で食物を消化してから吸収することになったとし、「腸内環境(消化管)は一見体内に存在するが、生体にとっては外部環境であり「内なる外」である」と解説しました。さらに、ヒドラのような腸管のみからできている原始的な腔腸動物も神経系を持っており、腸管機能における中枢神経、すなわち「腸の中の脳」として働いていることを示した上で、最近、腸管神経系を第二の脳と呼ぶことがあることについて、唐木氏は、「「腸の中の脳」こそが、第一の脳であると言える」と説明しました。腸管は多くの内臓感覚神経や消化管ホルモンを介して脳や全身にメッセージを発信し、「頭の中の脳」は無意識にそのメッセージを受け取っていますが、現代社会のストレスを抱えた私たちの「頭の中の脳」は、このメッセージを無視した指令を「腸の中の脳」に送り、現場指揮官である「腸の中の脳」を混乱させ、それが過敏性腸症候群などの発症原因となっています。唐木氏は「私たちの「頭の中の脳」は、「腸の中の脳」の叫びに耳を傾け、腸に余計な負荷をかけず腸内環境を健全にすることが、「腸の中の脳」のストレスを軽減し、腸からリラックス・メッセージが送られることで、「頭の中の脳」のストレス改善にもつながる」と話しました。
次に、株式会社ヤクルト本社広報室学術・編集班課長の有馬直美氏は「腸から整えるカラダとココロ」と題し、脳の状態が腸の機能に影響を及ぼすことは古くから言われてきたが、近年、腸の状態が脳に伝わり心の状態にも影響を及ぼすことが分かってきたとし、脳と腸がさまざまなネットワークを通じて情報を交換し影響を与え合う「脳腸相関」について説明。長年、研究を行っている乳酸菌L.カゼイ・シロタ株が、一時的な精神的ストレスに起因するストレス緩和や睡眠の質の向上に役立つ研究結果を紹介し、乳酸菌の持つ新たな可能性を示唆しました。
最後に、本学生活科学部准教授の及川佐枝子氏は「腸が喜ぶ食事」として、ヒトの腸には食物繊維などをエサとする約1000種類、100兆個からなる腸内細菌叢(腸内フローラ)が棲息しており、ヒトの消化・吸収、排便活動といった腸管機能に加え、栄養代謝、防御機構、免疫機構などに大きく貢献している「ヒトと腸内細菌との共生関係」について解説。しかし、加齢や運動不足、ストレス、偏った食生活により、この共生関係が乱れると腸内フローラのバランスが破綻し、肥満やアレルギー、免疫力の低下、うつ病や認知症の原因になるため、ヨーグルトや納豆といったビフィズス菌や納豆菌などを含む「プロバイオティクス」と、善玉菌を増やす作用のあるオリゴ糖や食物繊維などの「プレバイオティクス」を組み合わせた「シンバイオティクス」を、主食・主菜・副菜をバランスよく摂る基本の食事に上手く取り入れることを推奨しました。
視聴者からは「腸内環境が外界と知ってとても驚いた」「腸について改めて考えるきっかけとなった」などの声が寄せられ、腸の新たな見方を知り、腸の大切さを再確認する機会となったようです。

唐木先生.jpg 2有馬氏.jpg
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